罪と罰 / ドストエフスキー
しばらく間が空いてしまったが再開。
本を読む時間があまり取れないのに、時間のかかるものに手を付けてしまった弊害かな。
うっかり手を付けてしまったのはドストエフスキー・・・
で、今回は罪と罰。
文学青年の思想と、彼の不遇な環境によって引き起こされた犯罪、その後の苦しみ、その後の更生への物語。
現代の日本とは社会状況が異なるため、背景には少しわかりにくい部分もあるが、それを差し引いても現代の人間が読んだ方がいい、と思える一冊。
4章までは焦らされ、5章から引き込まれる。
長いけど、4章までをしっかり読んでると、5章からが面白い。
内面の描き方が秀逸。まるで作者が本当にこの体験をしたかのようなリアリティを持って迫ってくる。
若い頃には誰でもある程度は持つであろう、思想的な部分が描かれ、主人公が悩み苦しみ続ける姿が重く描かれている。
セリフ量が異常に多いので、読むのに少し疲れるけどこの辺はドストエフスキーの特徴?カラマーゾフもそうだったし。
人間が本当に悩み、苦しむ時、思考の過程ではこのくらいは考えるものだと思うのだが、それは僕が古い人間になってきたせいだろうか。
現代の人間を見ていると、あまりに短絡的に考えすぎる点が目立つ気がする。
これは自分より若いとか、そういう事には関係ないので、「今どきの若いモンは・・」的なコトではないのだけど。
そういう意味では年代問わず読んでおいていいと思う。
あまりにも思慮の浅い人間が増えてくるようなら、義務教育の段階で強制して読ませる程度の事はして良いのでは。
本来は日本人による本でこういったモノがあればいいんだけどね。(社会背景とかは理解しやすいだろうし)
今回は実家の本棚より。最近は亀山郁夫訳の新版があるので、そちらも読んでみたい。
- 作者: ドストエフスキー,工藤精一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/06/09
- メディア: 文庫
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